7. 国内のきのこ図鑑について

日本産きのこ目録2016では、国内で発行されている地方のきのこ図鑑の情報を多数入力した。

国内で発行されている図鑑の89割は入力できている。

地方の図鑑の中には有用な情報が多々見られる。

シロイチゴモドキJaponogaster oohashianus Kobayasiという小林義雄氏が新種記載した腹菌類がある。

このキノコは徳島の標本をもとにして新種したキノコである。

他の地域では見つかっていないキノコで、写真を掲載している図鑑はない。

そのため、どのようなキノコであるのか原記載を調べるしかないのである。

ところが、近安和雄氏の「四国のキノコ」の p. 150.には「シロイチゴモドキ」の写真を掲載してある。

シロイチゴモドキの写真があるのはおそらくこの図鑑だけである。

地方の図鑑は絶版になれば、入手も難しく”必要とされない図鑑”となってしまう。

しかし、「四国のキノコ」にシロイチゴモドキの記録がある」という情報を目録に入れておけばどうだろうか?

シロイチゴモドキというキノコを調べる際には、四国のキノコを調べなくてはいけない。

余談であるが、シロイチゴモドキという和名は、勝本謙. 2010. 日本産菌類集覧にも載っていない

地方のキノコ図鑑が埋もれているのである。

シロイチゴモドキ以外にも、

 群馬のきのこ(下巻)の「ケシムラサキチャワンタケ」

 新潟県のキノコの「コシノムラサキハツ、アカダマスッポンタケ」

 原色北海道のきのこの「ニセキヌメリイグチ、アシグロニオイイグチ」

など地方には分類学的にも重要で有用なキノコの情報を掲載している図鑑が多々ある。

これらの情報を目録に入れることで「地方の図鑑」の価値が改めて再認識されるでろう。

地方のキノコ図鑑の情報はすべて入力せず、有用だと思われるキノコだけ、抜粋して入力している。

これはすべて入れると情報量が多くなりすぎるからである。

人為的に選んでいるため、Aという図鑑の○○タケは入力しているが、Bという図鑑の○○タケは入力していないこもある。

まだ入力できていない国内の図鑑はいくつかある。

今後も随時入力していく予定である